「負けても、口ずさむラップがある。」ジャグラップ制作者ノラボン|ジャグラー打ちの心を言葉にしたかった

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【インタビュー】ノラボンが明かす、ジャグラップに込めたリアル

編集長

── ジャグラップというスタイルが生まれたきっかけから教えてください。

ノラボン:ジャグラーを打っていると、出玉じゃ語れない“心のドラマ”があるんですよ。

たとえば、「絶対ハマると思った……」って身構えてたら、急にペカって肩の力が抜けたり、「これ、チェリー重複っぽいな……!」って思った瞬間に当たって、ガッツポーズしたり。

あの、予想が当たるかどうかの“感情の駆け引き”というか、「今、流れ変わったかも?」って感じる一瞬一瞬に、打ち手だけが味わえる揺れや手応えがあるんですよね。その感覚って、ただ言葉で語っても伝わりにくくて。

だからこそ、ラップに乗せて“体感”として伝えたいと思ったんです。読みと感情の一致やズレ、そのリアルな“間”や“空気感”を、音と言葉で表現する。それが、ジャグラップの原点です。

編集長

── ジャグラーとラップ、一見まったく違うように見えますが、そこに重なるものがあったのですね?

ノラボン: 打てば打つほど思うんですけど、ジャグラーには物語があるなって。

「今日は高設定っぽい、、けどハマる」

「朝イチ1000円でペカ → 単バケ → 飲まれて追加投資」

この流れ、まるで人生の縮図みたいじゃないですか。ラップが感情やリアルを描くように、ジャグラーもその日の“自分”を映してくれる鏡みたいなもので。

たった1回のレバーオンに込める感情って、ひとつのリリックにもなるし、人生の断片にもなり得る。そこに魅力を感じてます。

編集長

── ジャグラー打ちにしかわからない“あるある”も、曲に込めているんですね。

ノラボン: ホールには、打ち手にしかわからない言葉のない感情があるんです。

超レギュラー先行に心がザワつくとか、ブドウが良すぎてヤメられないとか、400超えた台に座るとすぐペカるとか、スランプグラフの動きと、その時の気持ちが連動したりとか。

理屈と感情がズレる瞬間も多いんです。そこがジャグラーの面白さであり、苦しさでもある。その感情を、笑い話にするのもいい。でも音にすれば、誰かの共感になるかもしれないと思って。

「オレもそれあったわ」とか、「それ歌にするんかい」みたいな反応が返ってくるのがうれしいですね。そんな“打ち手の感情の記録”としてのラップを作りたいなって思ったんです。

編集長

── ジャグラップは、どんなときに聴いてもらいたい音楽ですか?

ノラボン: 朝の抽選から、閉店間際のレバーオンまで(笑)

どんな展開でも、自分の感情にしっくりくる曲があれば、それだけで救われる瞬間ってあると思うんです。勝っても負けても、その“気持ち”に寄り添えるようなBGMでありたいですね。だから、打ちながらでも、帰り道でも、ふと聴いてもらえたら嬉しいです。

編集長

── ジャグラップには、その日の“ストーリー”ごとに響き方が変わる面白さがあるんですね。

ノラボン: ほんとにそう思います。ジャグラーって、ただの遊技じゃなくて、毎回ちがう物語があるんです。

たとえ結果が同じでも、その日だけの体験があって、その時その時で気持ちも変わる。だからこそ、その一瞬をラップで残したくなるし、もし誰かの記憶にふと残るような一節になったら──、それだけで十分意味があると思うんです。

編集長

── アルバム『ペカリズム』について教えてください。

ノラボン: 最初は、1曲だけ作るつもりだったんです。アルバムタイトルになった曲「ペカリズム」だけをね。

でも、その曲が完成したときに、「他にも違う角度から作ってみたい」って衝動が生まれて。そこから自然とアルバム制作に入っていきました。なんとなく1曲で終わらせたくないテーマだったんですよね。

編集長

── 全曲ご自身でプロデュースされたとか。もともと音楽制作をされていたんですか?

ノラボン: はい。過去にミュージシャンとして活動していました。でも実は、もう10年くらい前に引退してたんです。

ただ、DTM(パソコンでの音楽制作)やミックス、マスタリングの作業が好きだったので、久々に復活してもやっぱり楽しかったですね。いまって、ネット環境とPCさえあれば自宅で全部できちゃう。すごくいい時代だなと思います。

編集長

── ちなみに、どんなソフトを使って制作したんですか?

ノラボン: 10年ぶりに『Logic Pro』を使いました(笑)

バージョンもかなり進化していて、最初はけっこう戸惑いましたよ。でも、音楽制作の基本的な部分は変わっていなかったので、なんとかマスタリングまでひとりでやりきりました。

もちろん、プロに頼んだ方がクオリティは上がるとは思いますけど、「自分の手で完成させた」という実感が欲しかったんです。

編集長

── アルバム全体のベースになっているのは、やはりヒップホップですか?

ノラボン: そうですね。特に意識したのは、1990年代から2000年代前半のヒップホップサウンドです。

当時のクラブビートみたいな雰囲気が好きで、あの空気感を取り入れました。いまどきのトラップ系やエレクトロとはまた違う、ちょっと土っぽさのあるビート感。ジャグラーと同じで、どこか“人間味”のある音を目指してました。

編集長

── 今後は、再びミュージシャンとして本格的に活動していく予定は?

ノラボン: いや、それはないですね(笑)

あくまで今は“趣味”として、気楽に楽しんでる感じです。

編集長

── 最後に、ジャグラップをまだ聴いたことのない人へ、ひと言お願いします。

ノラボン:「たかがパチスロ。されどパチスロ。」勝った日も、負けた日も、全部がひとつの物語。ペカる瞬間、それは心のビートが跳ねた証です。

もしその音に、少しでも“わかる”って思えたなら──、ジャグラップは、もうあなたのラップかもしれません。気が向いたときに、ふと聴いてもらえたら嬉しいです。

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この記事を書いた人

初代ジャグラーが登場した1996年当時、リアルタイムでその光と音に魅了された一人。その後、30代までのあいだはプロの音楽家として活動。
音楽の世界から離れたのち、再びホールで出会ったのが、あのGOGO!ランプだった。
現在は、過去の音楽経験を活かし、ジャグラー実戦の世界を“ラップ”で表現する新企画「ジャグラップ」を展開中。ジャグラーと音楽を融合させた、新しい“ジャグラーの楽しみ方”を模索している。

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